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ある日仏ハーフ少女と、その家族の数奇な人生

Salut! 寒い冬がやってきつつありますね~。今回はそんなフランスの長~い冬にじっくり読んでみたい、昭和の文豪の自伝小説をご紹介!

『娘と私』 獅子文六

娘と私 (ちくま文庫)

なんとこの作品、NHK朝ドラの第一作目原作らしいです。

作者は獅子文六(ししぶんろく)(1893-1969)。なんでもこのペンネーム、九九の四四十六をもじったとか、文豪(文五)を超えるという意味で文六にしたとか、いろいろ逸話があるんですよ~。面白いですね!

文六は若いころにフランス留学しており、パリでフランス人女性と出会ったそうです。この時代(大正)に授かり婚して日本に帰国!生まれた赤ちゃんと三人、東京で暮らし始めます。

さてこの赤ちゃん(女の子)、フランスでも日本でも通用する名前・「麻理(マリ)」と名付けられ、三人での暮らしは順調に行っていましたが・・・

文六と妻 引用:http://www.ksatou.com/bunnroku-hp/bunnroku.html

文六と妻
引用:http://www.ksatou.com/bunnroku-hp/bunnroku.html

妻の発病と死

日本での文化や生活習慣の違い、ストレスから妻が発病してしまいます。日に日に様態が悪くなるため、彼女だけフランスに帰国することに。そのとき、麻理は5歳。

妻を船で送り届けて(大変!)日本に帰国した文六と麻理、二人の生活が始まります。

幼子を抱えての貧乏生活。フランス・カトリック系女学校への入学、麻理の寄宿舎生活と大病、そして、妻の死・・・。怒涛の人生が続きます。

さらに、妻の死から1年。麻理10歳のとき、文六は日本人女性と再婚をします。
この『娘と私』、娘・麻理のことが中心なのですが、実は彼女を育て上げて亡くなった2番目の妻、千鶴子との回顧録にもなっているのです。

「私にとって、亡妻と、私の娘とは、離すべからざるものであった。亡妻を娶った動機も、娘の義母として適当の人間と考えたからであり、事実、彼女は、娘を、一人前に育て上げてくれ、そして、世を去った。亡妻のことを書くのは、私の娘のことを書くことになり、私の娘のことを書くのは、亡妻のことを書くことになるのである。」(P627)

再婚後の家族写真 引用:http://www.ksatou.com/bunnroku-hp/bunnroku.html

再婚後の家族写真
引用:http://www.ksatou.com/bunnroku-hp/bunnroku.html

麻理の数奇な運命

最初の奥さんの死から作者の文六は「これでフランスとの縁も切れた。これからは日本に本腰を入れて生きていくぞ」と意気込みます。
そして、二番目の妻・千鶴子は大人しくて静かで和裁の教師をしている、「純・日本人女性」といった風情。麻理との関係も上手くいっていました。

さらに麻理は外見はほぼ日本人そのもので、ほとんど実母との思い出もありません。しかし、彼女はキリスト教系の女学校に通った影響からか、カトリック信者になり、フランス語習得に熱を上げ・・・文六は成人した娘のフランス留学について検討し始めます。そこで、実感のこもった一言。

「―因縁というものは、容易に、断ち切れない。」(P502)

成長した娘とともに 引用:http://www.ksatou.com/bunnroku-hp/bunnroku.html

成長した娘とともに
引用:http://www.ksatou.com/bunnroku-hp/bunnroku.html

人生には様々な「筋」がある

詳しいあらすじは本編で読んでみてほしいのですが、作者自身が作品を書いていたときを振り返ってこう書いています。

「(作品を書いていた)長い間、私は「筋」というものを考えないで、物語を書く経験をしたわけであるが、私の一つの発見は、人生の中に、ずいぶん、「筋」があるということだった。」(P628)

まさに!我々の人生も振り返ってみれば、実にさまざまな「筋」があるのでは・・・と思わせられる作品でした。

麻理の数奇な運命の他にも、千鶴子との夫婦生活、一人親になってしまった文六の身勝手さ(笑←これ本当に「男って勝手!」と何度も思いました。正直者、と言うべきか。)、また、そのエピソードの間を挟む、第二次世界大戦の様子などを赤裸々に綴った本作。

実際に日仏ハーフとして大正・昭和を生きたある女性と、その家族の物語。一読の価値アリですよ!

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投稿者プロフィール

ULLA
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 高校卒業後フランス・・・ではなく、アメリカ留学して学位取得。その後、東京の英語関連会社に就職。英語人生まっしぐら・・・と思いきや、観光に来ていたフランス人と出会い、あれよあれよというまに結婚のため渡仏してしまいました。(当時フランス語は全くはなせず)
 現在はCDD初仕事を終えてのんびりモード。

 
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 高校卒業後フランス・・・ではなく、アメリカ留学して学位取得。その後、東京の英語関連会社に就職。英語人生まっしぐら・・・と思いきや、観光に来ていたフランス人と出会い、あれよあれよというまに結婚のため渡仏してしまいました。(当時フランス語は全くはなせず)  現在はCDD初仕事を終えてのんびりモード。  

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