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海外で日本古典の世界に触れるー気軽に読めるライトな3冊

    海外に住んでいると日本が懐かしくなりますよね。そんなときおススメなのが、これを機に日本古典に触れること!

 しかし、古典って現代とは使われてる言葉が違ってハードルが高いですよね・・・。そんなときにこれをとっかかりにすれば日本の王朝文学に親しむきっかけになるかも?!というライトな3作品をご紹介します。

平安のお姫様が大活躍!『なんて素敵にジャパネスク』氷室冴子

なんて素敵にジャパネスク (集英社コバルト文庫)

 ご存じの方もいらっしゃるでしょうか。氷室冴子といえば少女小説の定番・コバルト文庫の看板作家さんでした。

 平安時代、名門貴族の家に生まれた瑠璃姫(るりひめ)の恋あり、冒険ありの波乱万丈ストーリーです。当時のお姫さまといえばお付きに囲まれ、顔を隠し、じっと静かに殿方が来るのを待つ・・・というのが一般的。しかし、さすがは少女小説。

 瑠璃はこっそり屋敷を抜け出し、帝に関わる陰謀さえ解決してしまう活躍を見せます。

 話の面白さはもちろん、平安時代の貴族生活、和歌のやりとりなどがきっちり丁寧に描かれているので、「こんな風に歌を作ったり生活していたのね」ということがよく分かると思います。

 全10巻と長いですが、第1巻はそれのみでも完結しますので、お試しに読んでみてもいいかも。

 私は中学生のとき夢中で読んだのですが、数年前に実家へ帰省したとき発見し、パラパラめくってみたら止まらなくなり、徹夜で読んでしまいました。(笑)というわけで大人が読んでも大丈夫です。もちろんお子さんにおススメも◎!

耽美、そして艶やかなイラストにウットリ 『とりかえ・ばや』 さいとうちほ

とりかえ・ばや(1) (フラワーコミックスα)

 古典『とりかえばや物語』をアレンジしたマンガ作品です。

「とりかえばや」とは「取り替えたいなあ、取り替えられたらなあ」の意。

 権大納言(名門貴族)家に同時に生まれたとても美しい女の子と男の子。女の子は活発に、男の子はおしとやかに育ち、大納言は「男女反対ならよかったのに」とため息をつく毎日。

 そして、ついに女の子は男性として元服(成人)し、宮中へ参内、男の子は女性として東宮(現代でいう皇太子。そして、このときは女性皇太子)の世話役として入内することに・・・という男女逆転劇です。

 作者のさいとうちほは美麗なイラストと時代考証で定評のあるベテラン漫画家で、過去にも『花冠のマドンナ』というイタリア・ルネッサンス期を舞台にした作品を描いています。

 とにかく美しく、艶やかなイラストにうっとりですが、話自体は原典の何というか若干えげつない(エロい?)内容も含まれています。まあ、そこもマンガで読むと緩和されて耽美なんですけども。

日本版:シンデレラストーリー『おちくぼ姫』 田辺聖子

おちくぼ姫 角川文庫

『おちくぼ物語』という古典を田辺聖子が現代語訳したものです。

 貴族の娘に生まれたにも関わらず、継母や異母姉にこき使われ、落ちくぼんだ部屋に暮らしているため「おちくぼ」と呼ばれているお姫様のお話です。

 不憫に思った世話係(女房)が奮闘し、継母のいじわるでピンチに陥り、貴公子とハッピーエンドになるというまさに平安版シンデレラストーリーです。ちなみにおちくぼはすごい美女という設定。(笑)

 この作品で私が好きなのは世話係のあこぎという女性です。おちくぼを幼少のころからお世話しており、彼女自身も美人で機転が効き、仕事がよくできるんです。「姫さまを絶対に幸せにする!」という強い思いで行動する姿が生き生きと描かれています。

 田辺聖子もいわずもがな古典愛に溢れた作家さんですので、おちくぼの運命に笑ったりハラハラしたり楽しめること間違いなしです。

 いかがでしたか?堅苦しく感じてしまう古典ですが、考えてみたら昔の人が娯楽として読んだもの。そんな風に気楽に楽しめたらきっと親しみが持てるハズ?!

 ふらんぽんではオンライン読書会も開催中!といっても堅苦しくなく、和気あいあいとした座談会のようなかんじです。ふるってご参加ください。詳細はこちらの記事をどうぞ〜♪

投稿者プロフィール

ULLA
フランス西部にて夫と二人暮らし。
アメリカ留学後、都内英語スクールで講師をしていました。

現在はライター&占い師としてフリーな働き方を模索中。
深く掘り下げる太陽さそり座、情報伝達が得意な月ふたご座です。

ULLA名義の占い個人鑑定はこちらから受け付けています。
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