秋も深まりつつある今日この頃、いかがお過ごしですか。
今回は「フランス社会ってよく分からない」人(まあ私みたいな人のことなんですが)のために、本を一冊ご紹介!
『セーヌの川辺』 池澤 夏樹
![]() |
新品価格 |
著者はフランスに移住し、5年暮らした日本の作家さん。その作家の視点からフランス社会及び、ヨーロッパ、そして日本社会について書いたエッセイです。実はこの本、ふらんぽね~ずのダリアが日本語に飢えている私に譲ってくれたもの。
最初は「文章が難しそうだな~、読みきれるかな~」と少々不安に思っていたのですが、読み始めると・・・むむむ、おもろい!
もっとフランス社会を知りたくなる
フランスに住んでいると「あるある!」と思うことから、「実はフランスって歴史的にこうなんですよ」と教えてもらって「へ~。そうなんだ!」とタメになることまで。
そして、外から見た日本の常識を鋭く切ってみたり、語学学習者のなぐさめとなるような「語学論」を語ってくれたり。
この本を読んで、「フランス社会って面白いんだな~、もっと知りたいかも。」と思いました。 まさか自分がそんな気持ちになるなんて・・・驚き!
ーここからは私が本書で印象に残った文章をピックアップー
「フランスは理念として坩堝(るつぼ)論を立ててきた。集団としてのエスニックの存在を認めない。フランス語を話し、フランス文化を受け入れればフランス人。それ以上の分類はしない。」(P25)
これはアメリカの比喩、「人種のサラダボウル」と比較して語られたこと。確かにスペイン語や中国語が飛び交ってるアメリカと比べると、フランスは「住んでるんだからフランス語が話せないと!」的な雰囲気めっちゃ強いです。居住ビザ取ると無料で語学学校受けられるし(というか強制)。
「個人が基本であって、社会はあるところまでしか面倒を見てくれない。サービスの限界はいつも目前にある。」(P80)
デモで著者の乗った電車が止まった時の文章。これはしょっちゅうフランスにいると直面しますね。デモやストで公共機関が止まりまくるため、自分で何とかしないといけないです。デモで道路が壊される&封鎖され、仕事に行けないということもあります。フランスあるある。
ー次は語学習得者への励ましの言葉ー
「語学力はいつだって誰だって不足しているものである。母語でさえそうなのだから、後から習得した言葉の力が充分であるはずがない。言語生活とは常に不自由を意識しながら営むものだ。すべての語学は習得しつつある語学である。」(P190)
今、語学を勉強している人には嬉しい言葉。「母語でさえそうなのだから」って確かに。
「人はそれでも二つの言語の間になんとか橋を架けなければならないのだ。半分しか伝わらないとしてもその半分はゼロよりはずっといい。その半分が求められている。」(P228)
これは日本語とほかの言語の違いもあるかも。日本語から英語、フランス語に訳すのは相当骨が折れますが、英語⇔フランス語間の訳は結構カンタンに感じます。
それは似た単語、文法構造が多いからだけど、風土が言語を作り、言語が文化を作るのだとしたら、どこからも隔絶された日本は本当に独特の文化を形成していて、言語もオリジナリティに溢れているように思います。
また、「半分しか伝わらなくてもゼロよりずっといい」と言ってくれるなら、私もフランスでもうちょっと頑張れそう。
住んでてもフランス社会がよく分からない人へ
以上、自分がフランスで生活していて、感じていることを文章化し明確に理解できるようにしてくれている箇所もあり、ありがたい1冊でした。
他に環境問題や政治など、なかなか自分で調べるのが難しいことも解説、分析してエッセイにしてるので勉強になります。
もし「住んでるけどフランス社会ってよく分かんない」って方、この本読んだらちょっとはスッキリするかもしれませんよ、私みたいにね!
投稿者プロフィール

-
フランス西部にて夫と二人暮らし。
アメリカ留学後、都内英語スクールで講師をしていました。
現在はライター&占い師としてフリーな働き方を模索中。
深く掘り下げる太陽さそり座、情報伝達が得意な月ふたご座です。
ULLA名義の占い個人鑑定はこちらから受け付けています。
https://profile.coconala.com/users/1649409
最新の投稿
ライフ2020.12.21地の時代から風の時代へ!2021年以降はどうなる?12星座別メッセージ② ライフ2020.12.14地の時代から風の時代へ!2021年以降はどうなる?12星座別メッセージ① ライフ2020.10.19【タロット占い相談室4】今後の夫婦関係について ライフ2020.08.17【タロット占い相談室3】事業を始めるのによい方角が知りたい