カルチャー,

「今、国際恋愛中!」という方に読んでもらいたい小説

今日は、第八回角川春樹小説賞を受賞した本の紹介です。フランスのことは一ミリも出て来ないのですが、明治初期の横濱で、欧米人や清国の人とも境界線を引かず自然に付き合う女の子が主人公です。

人としての大切な教訓が盛り込まれていて、丁寧に読めば読むほど心に響きます。若いふらんぽん読者さんに是非読んでもらいたい小説です。

タイトル
横濱つんてんらいら(作者:橘沙羅)
つんてんらいらは中国語で“春が来た”の意味

横濱つんてんらいら

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あらすじ
明治15年の横濱。海産物問屋の四女・すずは、車引の才蔵やアメリカ人カメラマンのモーリスといった街の人々から慕われつつ、家業の手伝いをしていた。ある日、友だちの喜代から想い人への手紙を頼まれるが、清国人が多く住む南京町でスリに遭い、手紙を奪われてしまう。それを助けたのは商いで見知っていた劉鴻志。その際に「ワンタン」をご馳走になり、食いしん坊のすずは劉に淡い恋心を抱く。しかしその頃横濱には、水死した娘や出所不明で流通する阿片など、不穏な空気が漂っていた――。
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情景や感情がとても精細に描かれています。横濱にあまり土地勘も無く歴史も詳しくない私ですが、映画を観ているようでした。そうなるとつい演じる俳優さんを誰にするか勝手に妄想したりして。劉さんは是非ディーン・フジオカさんに。弁髪でも滑稽に見えない、凛としていて上品で、「きれいなひと」となるとこの人しかいない!!なんて(笑)。妄想しすぎて話がちょっと逸れました・・。

そして外国人に恋して文化や習慣の違いに悩んでいる日本女子に読んでもらいたいシーンはここ。

すずの異国人に対する見解を書いてあるところです。
「日本人同士だって分かり合えないことがたくさんある。(中略)大事なのは、どこまで違いを認めて歩み寄れるかだ。違うから諦めることではない。P87」

とても心を打ちました。島国の日本では大半の人は異国の人と交流する機会が少なく、自分と違う習慣や文化を持つ人に出会うと「違い」に戸惑います。違うことでぶつかることもあるでしょう。でもそれですぐ「外国人だから分かり合えない」の一言で済ましたくはありません。些細な「違い」で人を否定したり嫌いにならないようにしたいと改めて思いました。

本の最終ページに3人の審査員の方の選評が書かれているのですが、今野敏先生が「シリーズ化を期待する」とおっしゃったようです。同感です。出来れば映画化も。角川さんよろしくお願いします。

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投稿者プロフィール

loc-envel
留学したパリで縁あって仏人と結婚。約10年間日本で結婚生活を送った後、2012年にブルターニュへ移住。航空業界・旅行業界での勤務経験を活かし、モン・サン・ミッシェルとレンヌで日本人グループの通訳兼アシスタント業に従事。趣味は彫金、ジェルネイル、教会巡り、自然散策。訪れたブルターニュの教会は50超!?
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留学したパリで縁あって仏人と結婚。約10年間日本で結婚生活を送った後、2012年にブルターニュへ移住。航空業界・旅行業界での勤務経験を活かし、モン・サン・ミッシェルとレンヌで日本人グループの通訳兼アシスタント業に従事。趣味は彫金、ジェルネイル、教会巡り、自然散策。訪れたブルターニュの教会は50超!?