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フランスの失業保険に関する驚きの事実

みなさんこんにちは。

まだまだコロナで落ち着かない日々ですが元気でしょうか。

フランスでテロがあったり、日本で地震があったりすると、

在仏の方、大丈夫かな?日本の人は大丈夫かな?と思ったりしますが、

コロナは世界のどこに住んでいても同じ問題に直面しているのを感じます。

 

さてさて今日は失業保険の話。

 

フランスといえば、失業率は日本の比較にならないほど高い国です。

2020年の第一四半期の失業率は7.8%と、日本の同時期2.9%を大きく上回っています。

しかもこの7.8%ってのも、コロナで子どもの面倒をみなきゃいけなくて働けないとかの人はカウントされていないそうなので、普段よりはマシな数字なんだとか。

 

それなのに、なんだか危機感もなくのんびりしているフランス人。

そして、古いTVドラマじゃないけど、仕事がいやになったら

「やめてやる!」と辞表をたたきつけて次の日から来ない

みたいなことがリアルにまかり通っているフランス。

 

その原因に、

 

なんだかんだで割と簡単に失業保険が受けられるって事情があるんではないかと睨んだ私。

 

Chômage(ショマージュ)、allocation chômage(アロカシオン・ショマージュ)と呼ばれるこの失業保険、どんな人が対象になるのか、ちょっと調べてみました。

 

※この記事は、私が驚かされたフランスの失業保険制度にスポットを当てて書いており、支給条件等の詳細には触れていません。正確な情報が必要な場合は、公式サイト等で必ずご確認ください。

 

まず1番の大前提:「自己都合退職」では失業保険はもらえない

そりゃそうか。

いわゆるdémission(デミッション)=辞職という形で退職した場合、基本的には失業保険が受けられません。

私は知らなかったのですが、日本では自己都合退職でも2か月の待機期間が過ぎれば受給できるとのこと。日本のハローワークの制度の方が親切に見えてきますね。

 

狙い目はRupture conventionnelle=合意退職

 

退職スタイルで最強なのは、このRupture conventionnelle(ルプチュー・コンヴォンショネル)と呼ばれる合意退職。

労働者とパトロン間で納得の上、正社員の契約を終わらせるケースです。

この場合、仕事を辞める際に退職手当を受けることができ、その上失業保険も得られるという、まさに理想的な辞め方。

パトロン・労働者双方の合意が必要なことから、ネット上では退職の時期を見計らう人にはパトロン良い関係を築いておくべしとのアドバイスがなされていたりもします。

って、失業保険がもらい放題なら、パトロン側も親切心から合意退職にサインしちゃって、失業保険もらう人であふれてしまうのでは?なんて心配も。しかし、会社側が払わなきゃならない退職手当がそこそこ高いので、実際には渋るパトロンが多く、不要にショマージュ受給者が増えるストッパーにもなっているようです。

 

かく言う私も、これを狙ってパトロンと面談したことがあったのですが、

失敗に終わりました(チーン)

 

 

それでもまだまだあるショマージュ受給の可能性。

 

引っ越しによる自己都合退職

ほぉー!これは良いかも。

日本でも、転勤の旦那さんについていくたびに仕事を変えなきゃならなくて大変・・・なんて話を聞きますよね。

 

  • 旦那さん・奥さん・同棲相手の引っ越しについていく場合
  • 結婚やPACSに伴う引っ越し
  • DVが原因での引っ越し
  • 障害がある子どもの施設入所に必要な引っ越し
  • 保護者の引っ越しについていく場合(未成年)

 

これらの条件での転居の際にショマージュがもらえるそう。逆に言えば、ただ住む場所を変えたくて一人で引っ越しする場合はNGってことのようですね。

 

 

給与未払いが原因の自己都合退職

これも確かに。自己実現とかはさておき、純粋にお金をもらうために働いている人が多いフランスですからね。って、そうでなくても、お給料を払ってくれない会社には居られないし、かといって生活費を失うこともできない・・・そんなジレンマを解決してくれる合理的なショマージュといえるかもしれません。

退職が認められるまでにはいくつか踏まなければならない手続きがあるようですが、悪質な会社に就職してしまった場合など、この制度があれば安心ですね。

 

 

脱サラ(会社の立ち上げ、職業の変更、研修受講等)のための自己都合退職。

2019年に始まった新しい制度で、キャリア路線を変更したいという人にはもってこいの支援です。これまでは会社を辞めて自分の事業を立ち上げたい、別の職業に就くために学校に通いたいという人もリスクを背負って会社を辞めなければならなかったのですが、今ではショマージュを受けながら脱サラが可能に。

勤続年数が換算されたり、事業プランなど真面目に考えてるかどうかの審査があったりするので、誰もが受けられるわけではないようですが、新しく始めたいことがある、アイディアがある、だけど無収入でゼロから始めるのは不安・・・という人を救ってくれること間違いなし。

 

 

驚愕の極めつけ!abandon de poste=職務放棄

上で紹介してきたショマージュの受給条件は、必要な人に必要な援助が届く、納得のもの。

労働者に優しい一面が垣間見られ、さすがフランス!と珍しく拍手を送りたくなりました。

 

ここへきて、これ。

 

例えば、スタッフが無断欠席するとするでしょ?

 

2日間連続で、正当な理由なく働かないと、パトロン側が忠告のレターを送ることができます。

それでもまだ来ないと、二度目の忠告レター。

それでも来ないと、面談への呼び出しレター。

 

で、面談にも来ず、理由も話さず引き続き仕事に来ないとするでしょ?

 

どうなるの?

 

解雇!

 

って、当たり前だわね。そりゃぁそうだ。

 

何が当たり前じゃないかって、

 

それでも失業保険がもらえちゃう所~!

 

パンパカパーン!おフランス様、寛大すぎ。

 

なんでも、理由はどうあれ「解雇」の場合はショマージュ受給資格があるからなんですって。

 

うーん。

 

うーん。

 

うーーーーん?

 

納得いきます?

 

ちなみに、会社の備品やお金を盗んだとか、パワハラ、嘘などいわゆるfaute grave=重大な過失を理由とした解雇でもショマージュがもらえるんですって。

 

すごくない?

 

いやーまだまだフランスには驚かされる事ばかり。

 

ショマージュを受けたくて職務放棄や重大な過失での解雇を狙う人もいるようですが、パトロンがすんなり解雇してくれるとも限らず、特に職務放棄では休んでいる間のお給料は当然出ませんので、一般的にはオススメな方法ではないようです。どうかお気をつけて・・・。

 

・・・とここまで書いてふと調べてみたのですが、日本でも懲戒解雇(本人の過失による解雇)であってもハローワークの定める待期期間(1~3か月ほど)が過ぎれば失業保険がもらえるそう。そうなんだ・・・!?

 

何度も書きますが、正確な情報が必要な方は信頼のできる情報筋でお調べくださいね!

 

それではまた~!

 

<参考>

https://www.pole-emploi.fr/candidat/mes-droits-aux-aides-et-allocati/lessentiel-a-savoir-sur-lallocat/ai-je-droit-a-lallocation-chomag.html

https://www.pole-emploi.fr/files/live/sites/PE/files/fichiers-en-telechargement/fichiers-en-telechargement—dem/les-demissions-qui-ouvrent-droit-a-lallocation4133726100401330280.pdf

https://www.service-public.fr/particuliers/vosdroits/F89

https://www.l-expert-comptable.com/a/37815-le-licenciement-pour-faute-grave-ouvre-droit-aux-allocations-chomage.html#:~:text=Le%20licenciement%20pour%20faute%20grave%20ouvre%20droit%20aux%20allocations%20ch%C3%B4mage.,-Mis%20%C3%A0%20jour&text=Le%20salari%C3%A9%20licenci%C3%A9%20pour%20faute,pr%C3%A9avis%20ne%20sont%20pas%20dues.

 

投稿者プロフィール

みきてぃ
ワーホリ、留学を経て仏人の夫と結婚、2012年からコートダジュールの小さな町に住んでいます。地中海生活という華やかな字面とは裏腹に、夫の同僚からは「君たちじいさんばあさんみたい」と評される質素でローカルな暮らし。食べることに情熱を傾ける私と夫、幼稚園児の息子の3人家族。現在はパリ第1大学・通信課程で学びつつ、近い将来翻訳を仕事にすることを目標に修行中です。
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ワーホリ、留学を経て仏人の夫と結婚、2012年からコートダジュールの小さな町に住んでいます。地中海生活という華やかな字面とは裏腹に、夫の同僚からは「君たちじいさんばあさんみたい」と評される質素でローカルな暮らし。食べることに情熱を傾ける私と夫、幼稚園児の息子の3人家族。現在はパリ第1大学・通信課程で学びつつ、近い将来翻訳を仕事にすることを目標に修行中です。

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