みなさんこんにちは!
フランスで法律を学ぶもの好きなみきてぃです。
先日の民法の授業で、下の名前の取り扱いを学ぶ機会がありました。
日本でも何かと話題のキラキラネーム。
フランスでもFraise(イチゴ)やNutella(ヌテラ)が禁止されたとかって話は有名ですよね。
そんなわけで、何ならいいの?何がダメなの?ちょっと面白い例は?と調べてみたのでレポートします!
フランス人って、決まったリストにある名前しか付けられないの!?
フランス文化に触れる中でなんとなく耳にする「名前リスト」の存在。
365日の各日に聖人の名前が付けられたカレンダーが存在し、その中から名前を付けなくてはならない。
って話を聞いたことがある人も多いのではないかと思います。
このネタの根源はさかのぼること1803年。今から約220年前です。
古っ。
聖人暦(聖人名のカレンダー)や昔から伝わる物語・伝説の登場人物などから名前を付けなければならないという決まりがあったそう。
時代の移り変わりとともに「有名な物語」って何よ?って定義なんかにも変化がおとずれることになります。
実際の所、その名前がいつの時代のどの伝説に出てくるのかなど、市役所の担当者がすべて把握しているはずもなく、最終的には役所の戸籍担当者の判断におまかせ、という形で下の名前のアリ・ナシが決められていたようです。
20世紀後半にもろもろの基準が緩められたあと、1993年に名づけに関する法律ができて、この話は決着がついています。にしても、1993年って、結構最近。意外ですね。
名づけの条件って?
フランスの法律ではどんなふうに名前を付けるべし!と決められているのでしょうか?
大原則はコチラ!
両親は自由に名前を付けることができます。
ということで、もう聖人暦や伝説の登場人物にこだわる必要はありません。
一方、条件があります。
子どもの利益に反しないこと
※※※この条件に違反すると、市役所から裁判所に通報され、訴えられます(爆)※※※
子どもに悪い影響がない範囲で自由に決めて良いってことなんですね。
というわけで、「自由に決められる」とはいえ、名前になってないような単語(苗字とか形容詞、オノマトペ)とか、意味をなさない音とか、テロリストと同姓同名になってしまう名前とかは認められないようです。
名前の変更ってできるの?
さて、では親がせっかくつけてくれた名前。
それでもやっぱりオリジナルすぎたり、ちょっと困っている・・・っていうケースも想定できますよね。
フランスでは下の名前を変えることはできるのでしょうか?
結論から言えば、出来ます!
ただし「単純に本人が気に入らないから」という理由だけでは改名できないようです。
じゃあどんな時ならOKなのよ?
珍妙な名前を変更したい時
珍妙というのはフランス語のridiculeから訳しました。まわりから笑われたり、からかわれるような滑稽な名前は改名できるということですね。
名前をフランス語化したい時
フランス社会に溶け込みやすいよう、という理由での改名です。モハメッドからピエールに変えたいとかそういうケースでしょうか。
性転換を行った場合
転換後の新しい性別に合わせて、女性の名前、男性の名前に変えたいという場合です。
これまでに却下されたキラキラネーム
名づけに関しては親の意向を最大限尊重すべし!ということになっているフランスですが、中には却下されるケースも。
これまでにどんな名前が却下されてきたのか調べてみると出てくる出てくる珍妙な名前!その一部をご紹介します。
@(アロバーズ)
アットマーク君。うん、ダメでしょ!
Fraise(フレーズ)
イチゴちゃん。Nutellaと並んで有名な話ですね。Clémentine(みかん) Prune(プルーン) Rose(ローズ) Pomme(りんご)はOKなのに!?
Mégane(メガン)
ルノー社の車の名前にもなっていますが、これ自体は普通に存在する名前。苗字が「ルノー」な家庭の子につけようとして、裁判になったことがあるようです。結局ご両親が控訴し、「少なくとも小学校入学くらいまでは苗字と下の名前を関連付けてからかいの対象にすることはあまりないと思われる」という理由で、この名前を付けることが認められたそうです。
Joyeux(ジョワイユ―)&Patriste(パトリスト)
双子の男の子にJoyeuxとPatristeと名付けようとした件。Joyeuxは元気な、楽しそうな、という形容詞。形容詞そのものを名前にするのはNG。
そしてPatriste。ん?この単語、見たことないな、と思ったら、なんと!Pas triste(悲しくない)からつくった造語なんですって!戸籍登録の担当者はジョークか?「Patrice(パトリス)」という普通の名前の書き間違えか?と疑ったそうですが、登録に来たパパは本当にこの名前を付けたがっていたとのこと。
「架空ののもので、珍妙ですらあり、子どもにとって困難と不快感をもたらす」とのことで却下されています。バッサリ
ルイ14世
えっと・・・。太陽王と呼ばれた17世紀のフランスの王様ですね。誰よ、こんなの付けたがったのは!14世とか、本人の名前ですらないし、と思ったら、この一件、1907年の出来事ですって。キラキラネームの先駆けか。
Ambre(アンブル)
琥珀を意味するこの言葉。女の子の下の名前として使われているそう。ここで問題になったのは、これを男の子の名前として付けたがった親がいたこと。女性同士の同性結婚カップルだったそうで、中性的な名前を付けたがっていたようですが、これは中性じゃなくて完全に女性名でしょ!ということで却下。
同じ理由で、Liam(リアム)という男性の名前を女の子につけようとした両親も却下をくらったという例があるようです。
Griezmann Mbappé(グリエズマン・エンバッペ)
有名サッカー選手2人の苗字を一度につけた親がいたようで、却下されています。まず、もはや下の名前じゃないっていう。しかも両方ね。ワールドカップに燃えたんだろうなぁ。意気込みはわかる。息子も彼らのように活躍してほしい!とね。でもね、コレはやっぱダメでしょ。
いかがでしたか。フランス語の名前に詳しくない私ですが、仲の良いママ友でVanille(バニラ)さんという人がいます。大手企業でバリバリ働くキャリアウーマンなのですが、バニラってあり?と思った記憶が(笑)実際、バニラを下の名前として付けることが出来るのかどうか、意見が分かれている所なようです。
皆さんの周りには変わった名前のフランス人いますか?面白いお名前を見つけたら、どうぞ教えてください!
(参考)
https://www.elle.fr/Astrologie/Prenoms/Prenoms-originaux-et-rares/Prenoms-interdits-3598295
https://www.society19.com/fr/prenoms-interdits-en-france/
投稿者プロフィール

- ワーホリ、留学を経て仏人の夫と結婚、2012年からコートダジュールの小さな町に住んでいます。地中海生活という華やかな字面とは裏腹に、夫の同僚からは「君たちじいさんばあさんみたい」と評される質素でローカルな暮らし。食べることに情熱を傾ける私と夫、幼稚園児の息子の3人家族。現在はパリ第1大学・通信課程で学びつつ、近い将来翻訳を仕事にすることを目標に修行中です。
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