フランスのPACS(パックス)という制度をご存知ですか?
ざっくり言うと、パートナーとの共同生活において結婚しているのとおなじだけの権利を得られる制度です。日本にはないPACS、結婚とどう違うのか、フランス人パートナーがいる方は知っておいて損はないですよ。
PACS(パックス)と結婚はどう違うの?
まず、PACS(パックス)ってなんやねん?という方は、こちらをご参照ください。→うぃきぺでぃあ。
って、Wikiの説明ではいまいちよくわかりませんが、結婚との違いは
- 相手側の苗字に変わらない
- 管轄は市役所でなく裁判所
- 別に永遠の愛を誓うわけではない
- 別れる時に離婚ほどめんどくさくない(どちらか一方の申し立てで契約解消可能)
こんな感じで、結婚に比べるとパックスはロマンチックさが微少です。
そもそも、同性カップルの権利拡大のためにできた制度。
しかし現在では、利用者はほぼ異性カップルです。
なぜならば、フランスだと離婚するには弁護士雇わなきゃいけない(=お金がかかる)し、裁判は下手すると数年がかり。めっちゃリスクを伴います。だから結婚 はしたくない、でもせっかくパートナーと住んでいるなら「夫婦」としてのメリットも手に入れたい、そんな需要があるわけです。
PACSしてみて、うまく行きそうだったら次は結婚、という「結婚の前段階」としてPACSするカップルもいますが、PACSのまま結婚しないカップルもいます。なので、「PACS=婚約」ではありません。
あと、結婚という制度はキリスト教が基盤になっているからしたくない、というアンチ・キリスト教の人もいます。
PACS(パックス)は結婚より軽い?!
PACSするか、結婚するか、なにもしないか。それは二人が決めることであって、お互いが納得していたらどんな形を選ぼうと「軽い」も「重い」もないはずです。
ただ、日本にはない制度なので、日本の市役所に届ける必要がない、日本の戸籍に影響がないことが結婚との大きな違いです。
フランスでは確定申告などの公式書類で「パクセPACSE」=「独身世帯でない」かどうかが問われることがあり、完全にオフィシャルな関係ですが、日本だとこの状態、「事実婚」とか「内縁関係」(うわぁ)とか、なんだか複雑な間柄のような呼び方に当てはまってしまいます・・・。
実際、「PACSするくらいなら結婚しなよ。それができない男なんて、本気じゃないんだよ」
と、フランス人と結婚している日本人女性から言われたことがあります。
そういう価値観なら、結婚すればいいと思います。
当たり前のことですが、自分が嫌なのに、無理して相手に合わせる必要は無いので、「私は結婚したいけど彼はPACSしたいって言う」とお悩みの方は、まず相手と話し合ったらいいと思います。
PACSのことを知らないからなんとなく怖い、不安なら、自分で調べてみて、それでも不安なら彼に質問してみればいいでしょう。
ちなみに、結婚しなきゃ「ちゃんとした感じがしない」という価値観のフランス人だって大勢います。
「ボクはフランス人だから結婚しないよ」なんて男は、要注意ですよ~(笑。
投稿者プロフィール

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フランス語・英語通訳案内士。
合計7年間のフランス滞在で、ワーホリ、語学留学、学部留学、美術館でスタージュ、修士号取得、フランス人とPACSなど様々な経験をする。2017年日本に完全帰国し、大阪市在住。得意分野は観光、文化芸術分野。旅と美術館巡りを愛する。そんなダリアの日常ブログはこちら。
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