Bonjour! 今日から「ふらんぽん」で執筆させていただくことになったTOMOKOです。
私は今、日本でこの原稿を書いています。というのも、3月からフランスに移住するためビザを取りに一時帰国したのです。
ところが。先日南麻布にあるフランス大使館を訪れたところ、
「あなたの場合、配偶者ビザ(長期滞在ビザ)は取れません。ビジタービザに切り替えてもう一度申請に来てください」と言われてしまったではありませんか。
POURQUOI?????
一瞬にして頭の中が真っ白になりました。なぜなら、PACS=法的な結婚ではなく「配偶者」として認められていないから。法律婚による夫婦でないと、このビザは取れないのです。
PACS=法律的な夫婦ではないという現実
私は今まで、フランス系のホテル会社に勤めるフランス人パートナーとともに、インドネシアで暮らしていました。2015年ジャカルタにあるフランス大使館でPACSの申請をし、その後ずっとパートナーとは事実婚関係を続けてきたわけです。インドネシアでの任期が終わり、いざフランスに帰国するという状況になった時、ジャカルタのフランス大使館に問い合わせたところ「日本で配偶者ビザを取ってください」と言われ、帰国するに至りました。それなのに。。。
法律婚と同様の社会保障や税法上の利益が受けられるPACS制度。保険や住居など、私はいままでこのフランス独自の制度に則って(恩恵を受けて)、何不自由なく海外で暮らしてきただけに、「PACSって日本では何も効力のないんだ」「PACSって正式な夫婦ではないんだ」と実感した瞬間でもありました。そもそも日本人に発給されるフランスビザとは何の関係もないんですね。「ビジタービザ」だとフランスで働く事ができません。PACSしているものの夫婦として認められず、仕事をする自由もない、そんな現実になんだか落ち込みました。
親にとってはPACS=あやふやで都合のいい、不愉快な制度?
今はビジタービザを取るために頭を切り替えたものの、私の父が納得していません。そもそも以前PACSの道を選んだ際、父に説明するのが大変でした。それもそのはず。日本の「戸籍」「法律」を重視する厳格な69歳の父からすれば、法律に縛られない夫婦の形なんて甚だ理解できないのでしょう。PACS=正式に結婚するまでのおためし婚的なもの、無責任だというふうに映るのも無理ありません。
- 結婚したと思って送り出した大切な娘が「ビジター」としてフランスに滞在しなければならないなんて。
- PACS後に法律婚に切り替える場合、その時に必要なものは?それと同時にビザも配偶者ビザに切り替わるのか?
- そもそも、海外で調停されたPACSがフランスでも適応されるのか?
そこから派生し、父の怒りは彼に向けられることに。
「そもそもPACSとかいうものを選んだからいけないんだ。将来的に娘とちゃんと結婚(法律婚)をする予定はあるのか?」今後の予定をきちんと手紙に書いて送りなさい、とまで言い出す始末。それを彼に伝えたら、「もちろん、将来的に君と結婚するつもりだよ。でも結婚は誰かに促されてするものじゃない。プロポーズはもっとロマンティックにしたかったのに。僕の計画は台無しだ・・・」と少し逆ギレされてしまったのでした。
PACSと結婚、ビザ。フランスにまつわる3つのことが、家族を巻き込み大混乱を招く事態に。大使館のウェブサイトにもPACSとビザの関係に関する記載がなく、すこし不親切だと感じました。私のように海外のフランス大使館でPACSした日本人とフランス人のカップルがフランスに移住する際の情報がどこにも見当たらず、苦労しています。
私は果たして無事、フランスに移住することができるのでしょうか??
この続きはまた次回。A bientôt!
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投稿者プロフィール

- ホテルマンのフランス人夫とともにインドネシアに駐在後、2017年4月よりドローム県にある人口900人の村、Puy Saint Martin へ移住(予定)、「Hôtel-Restaurant le Champ de Mars」の女将になる(予定)。元フランス系雑誌のエディター、ニースで語学留学経験あり。趣味はそば打ち。日々の生活を楽しみながらも、常にフラットな視点でこの国を見つめていけたらと思います。
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