ガイドブックなどでは南仏の人の事を「お喋り好きで陽気な人々」なんて言ったりしていますが、それは当の人々も自負している模様で、太陽の元のびのびと生きている人種との自己認識。
そんなもんだから、南仏の人は北の方の人、特にパリの人たちを鬱々としているうえにプライドだけが高くて意地悪。鼻持ちならない奴らと結構公の場所で言ってしまったりするわけです。
それに加えて時々耳にする「パリ症候群」。
パリのきらびやかさだけに憧れを感じて渡仏してしまった結果、
現実の厳しさ、特に対人関係に精神をやられてしまう日本人女子にありがち(らしい)な事態を指します。
というわけで、複数の視点を総合したところ、日仏を問わず
「パリジャンは冷たい」
という見方がどうやら定説な模様。
この度、フランスに遊びに来た家族を連れて、田舎者の私がパリへ上京してきたので、
果たしてパリジャンは冷たかったか?
生の経験を検証してみたいと思います。
1.どうも目についてしまうメトロの職員
ずーっと喋ってるんです。同僚と。
会計しつつも、顔を完全に横に向け、時には体を後ろにそらしながら奥にいる同僚の方を向いて。
君たち、ココには目的地に時間通りに着けるか着けないかで結構せっぱつまってる外国人(私たち)が居るんだよ!!
と声にしたい気持ちを抑えつつ、聞くべきことだけ淡々と聞く私。
しかし!色々質問をなげかけると、地図を引っ張り出して来たり、よりお得な切符の買い方を提案して来たりして、案外親切。
いや、最初っから親切だったらいう事ないんですが、「案外」親切。
結論:人間としては意地悪ではない。ただ、日本の駅係員さんの心温まるおもてなしを期待すると打ちのめされるので、仕事の雑さに打たれない心を持って挑むべし。
2.けっこうどこでも臨機応変だったレストランの店員さん
案外懐が広く、明らかなツーリストだろうが、オーソドックスなフランス人の食事スタイルに則っていなかろうが快く対応してくれる。どこへ行っても楽しい時間を過ごせました。
割と良いレストランにうっかりランチで入ってしまった時。食事はしたいけど、50分しか時間の無い私たち。
50分でランチって、結構ギリギリ。
ウェイターさんにそれでも大丈夫か聞くと、OKとのこと。
ベテラン風の担当の方が常に私たちのテーブルを気にしてくれて、
食事が終わるちょっと前にこっそり「デザート・コーヒーが要るなら今お聞きしますよ。急いでるでしょ?」と聞きに来てくれたり。
すっかりチップをはずんでしまいました。
結論:同じく観光客の多いニースでは、現地の人からも「飲食業関係者は横柄。呼んでも呼んでも来てくれない」と悪い評判を聞くことが多いだけに、むしろいい方向にびっくりした経験でした。
3.助け合いの精神をリアルで感じた、道行く人々
今回の家族を連れての旅行。
もう自分で考えたり道を探すのを最初っからすっかりやめ、
「全て人に聞く」で解決したなんちゃってガイドとなりました。
これが!!声かけた人全員が一緒に地図をみたり、地下鉄の乗り換えを考えてくれたりして、「パリの人、優しい~~!」とすっかりほだされてしまいました。
まあ、もしかしたら、声をかける時点で「優しそうな人」を自動的にセレクトしていた可能性もありますが。
結論:あいさつをしながら助けを求めた場合、多くの人が親身になってくれる。でもこれを全員に期待するにはフランス語力が必要かも。
というわけで、今回のパリでの人とのかかわり。
ただの観光ステイなので、住むことになったらまた違うとは思いますが、
案外みんな優しく、パリがもっと好きになりました。
一方、冷たいと感じさせる要因としては、パリジャンは往々にして忙しいみたいで、
こっちから積極的に関わりを持ったり、率直に質問したりしないと
手取り足取りで何でもしてくれるってことはないだろうな。と。
時に冷たくされても気にしない図太さが、彼らとの関わりを楽しむコツといえましょう。
多くの日本人が忙しいパリジャンにひるまずにパリを堪能してくれたら嬉しいですね。
投稿者プロフィール

- ワーホリ、留学を経て仏人の夫と結婚、2012年からコートダジュールの小さな町に住んでいます。地中海生活という華やかな字面とは裏腹に、夫の同僚からは「君たちじいさんばあさんみたい」と評される質素でローカルな暮らし。食べることに情熱を傾ける私と夫、幼稚園児の息子の3人家族。現在はパリ第1大学・通信課程で学びつつ、近い将来翻訳を仕事にすることを目標に修行中です。
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