フランス西部の都市・ナントの郊外にあるアーティスト村、トラントムーTrentemoultは思わず足を止めて眺めたくなる素敵なお家&お庭がいっぱい。さらに足を伸ばすと、近代建築の三大巨匠と呼ばれるル・コルビュジェ設計のユニテ・ダビタション(集合住宅)もあり、ナントに滞在するなら見逃せないスポットです。
ナントの街の中心から離れ、ロワール河を渡った対岸にトラントムーという地域があります。バスや車でもアクセス可能ですが、おススメはナビバス(船)。トラントムーまで直通で6分。あっという間の船旅です。バス・トラムとチケットは共通で、20分間隔で出ているので気軽に利用できます。
ここは古くから漁師が住んでた村。戦後になって寂れたところにアーティストが住みだして、各自が家にオリジナリティあふれる改築を施した結果、今では観光名所になっています。
船着場の近くには、ロワール河と対岸のナントの景色を楽しめるカフェやレストランが数件並び、ここで食事するためにナビバスに乗って訪れるナント市民も。
村は散策するのにちょうどいいサイズ。
どのお宅もカラフルで個性的だけど、ちゃんと古い良い部分を生かしていて村は不思議と調和が保たれています。あてもなく狭い路地を迷いつつ歩いていると、壁と窓枠の色使いが新鮮だったり、窓際にさりげなくたたずむカモメ(の置物)を見つけたり、いくらでも小さな発見があって飽きません。
私は以前、ナントのトラントムー行き船乗場から遠くない所に住んでいたので、何度かここを訪れました。何もすることのない日曜日、船に乗って日常から離れ、さわやか~な気持ちになれる。気分転換したい時にぴったりのお散歩コースでした。
La Maison radieuse(喜びにあふれた家)
さて、このトラントムーがあるルゼ市には、もうひとつ観光名所があります。
理想の集合住宅を目指し、住民の利便性を追及した、ル・コルビュジェの精神が息づく建築史に残る傑作、La Maison radieuse(喜びにあふれた家)と名付けられたこのマンションなのですが・・・
なんだか80年代の日本の団地っぽい・・・。
それもそのはず、当時の日本の建築家の多くはコルビュジェの影響を受けまくっているのです。
2015年に60周年を迎えた喜びの家は、今でも住民同士の交流が活発で、ル・コルビュジェの理想を反映した部分もある一方、コンクリート作りの外観や生活に不便な面に不満の声も多いそうです。
トラントムーの家々のおおらかな雰囲気と、理想の社会、理想の生活を目指して綿密に計算されて造られたル・コルビュジェのLa Maison radieuse。建築に興味のある方には、ぜひ両方訪れてみてほしいです。
投稿者プロフィール

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フランス語・英語通訳案内士。
合計7年間のフランス滞在で、ワーホリ、語学留学、学部留学、美術館でスタージュ、修士号取得、フランス人とPACSなど様々な経験をする。2017年日本に完全帰国し、大阪市在住。得意分野は観光、文化芸術分野。旅と美術館巡りを愛する。そんなダリアの日常ブログはこちら。
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